ご挨拶

東京糖尿病療養指導推進機構代表理事 本田 正志
東京糖尿病療養指導推進機構
代表理事 本田 正志
(医療法人社団 恭美会西川クリニック)

 東京には日本の人口の約1割が集まっておりますので、日本全体の糖尿病患者さんとその予備群が約2000万人とすると、単純に考えて東京には200万人以上の患者さんとその予備群の方がいらっしゃる勘定になります。東京の昼間人口はもっと多いわけですから、この数字はさらに大きくなるかもしれません。

 糖尿病が怖いのは、長い間に体のさまざまな場所に合併症が起きることです。失明原因の第2位は糖尿病網膜症であり、人工透析の最大の原因は糖尿病性腎症です。それ以外にも動脈硬化の進展によって引き起こされる心筋梗塞や脳梗塞など、糖尿病は患者さんのQOL低下や生命の危機を引き起こす大きな原因となります。
また、1人の患者さんが透析を導入すると年間約500万円の医療費がかかるといわれておりますが、失明や脳梗塞の後遺症の手当てなども考えますと、医療費の膨張という面からも見逃せない点があります。

 このたび、東京糖尿病療養指導士、東京糖尿病療養支援士といった2つの資格制度を発足させ、私ども東京糖尿病療養指導推進機構がこの制度の普及を推進する役割を担うことになったのも、このような糖尿病医療の現状を何とかしたいという思いからであります。

 糖尿病の発症予防、重症化予防には、医療機関だけの力では限界があります。医療施設で働く医療スタッフの方、また糖尿病であるにもかかわらず受診していない患者さんや糖尿病の予備群といわれる方々のフォローには健診機関や保健指導を行う専門職の方、薬局や介護施設で働く専門職の方々の参加も欠かせないものです。
さまざまな職域の専門職の方が、糖尿病の病態と療養について学び、一人でも多くの方がこの糖尿病との戦いに参加するための学習のプログラムとして、この東京糖尿病療養指導士、東京糖尿病療養支援士の制度をご活用いただきたいと考えております。

 また、この制度を運営し推進していくために、私どもの東京糖尿病療養指導推進機構とともに東京糖尿病療養指導士認定機構という団体が発足いたしました。

 この2つの団体が協力し、新しく発足したこの制度が順調に育ち、糖尿病患者さんとその予備群の方々が、少しでもレベルの高い治療、サポートが受けられよう努力してまいりたいと考えておりますので、ぜひご支援いただきますようお願いいたします。

(2017年3月)

専門医など

東京女子医科大学医学部及び大学院卒、日本糖尿病学会 認定専門医・指導医、日本糖尿病学会 功労学術評議員、日本糖尿病・妊娠学会 評議員・監事、日本病態栄養学会 評議員、元東京女子医大 診療教授、元東京女子医科大学同窓会立 至誠会第二病院 副院長、一般社団法人東京臨床糖尿病医会 理事長、東京糖尿病療養指導推進機構 代表理事